アレをアレしたアレ

カテゴリー小説…長らく使ってこなかったカテゴリーです。前々前くらいに書いたアレをアレします。語彙力が足りない。とか思ったら創作垢でのやつだった。えーと高校生くらいの時から温めてた、合法的にヒロインを損なう話が書きたいなー(ひどい)というのを形にしたもの。人様の話でヒロインが傷つくのは見てられない輩ですが自分の所は棚に上げる。で、今回の記事のはそのキャラたちの前の前くらいあたりの世代の話。何か唐突にそれが思い浮かんで百合書きたいとなったやつ。ダイジェストで結末まで上げますので続きからで。

キャラ紹介。作ったアレが輝く…。まずは今の方。

 

◆赤月青人…赤鬼と呼ばれる生き物の血を継いだ少年。平凡な一般家庭で暮らすごくごく普通の男子高校生だったが、母親のカミングアウトとカイナの血を摂取した事で非日常の世界に飛び込まされる。今代の赤鬼。赤鬼の血が強まると語調も変化する。カイナの扱いに憤りを覚えるが、少しずつ彼女の血に溺れていく。

 

 

◆カイナーベル(カイナ)…赤鬼である青人のための生き餌であり生け贄の巫女の血を継いだ少女。ある研究所で管理されており、常に無表情で、自分の意思を持たない。機関からの命令、もしくは青人に食い尽くされそうになった時以外を除いて青人に従順であるように『調整』されている。耐久実験や投薬を重ねた結果、自我と呼べるものがすり減ってしまった。

 

赤鬼…何かそういう生き物。強大な力を持っている。生け贄を差し出せばこの世界を守ってやるとか約定交わしたとかなんとか。以後も子孫はその約定に縛られる。

 

生け贄の巫女…初代の生け贄。捧げられた供物。
 

歪み…境界の間に生まれる世界。赤鬼とその血を摂取した生餌のみが入る事が可能。境界の向こうから来る『怪物』をそこで処理してこっちの世界に来させないようにするのが赤鬼のお仕事です。歪みは何十年かの周期で生まれ、その間隔もバラバラだが歪みが生まれる何年か前に磁場の変調などで分かるようになっており、それが確認されれば機関は生餌を『用意』する。

 

◆◇ ここからはこの二人の前前くらいあたり(曖昧)世代 ◇◆

 

 

◆赤月有栖…赤鬼。元気ではっきりした性格。サラサに一目惚れする。

 

 

◆サラサ…生餌の少女。無口。よく視線が右下に向く。年下。オッドアイ。有栖の命令に従順。

 

でここからは最初に電子ノートで書いてたらくがきなどを。

 

生餌二人の服とか髪型とか違うのはその時の赤鬼の好みに合わせてるとかうんぬん。

 

有栖は描きにくいタイプ。要素はここでメモられている。運動それなりに得意そう。

 

では続きからでこの二人のダイジェスト話になります。本当にダイジェストなので意味不明なところは最近流行り()な想像補完で補って下さい。

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ポメラの第二弾

書きかけだけど、冒頭部分の感じが自分にしては珍しい感じで好みだったので。

タイトルは適当です。基本考えない。

 

「少女と青年」

 

 

 

 

ーー気分はどうかって?そりゃあもう最悪ですよ。こっちはね、バイトも学校にも連絡入れないで一日中理由も聞かされず拘束されてるんですよ。知ってますか?うちのバイト無断欠勤厳禁なんですよ。これで僕は明日から食い扶持がなくなるんです。今だってやっと見つけたバイトなのに…はぁ。
ーここ、そういうの保障してます?あ、してないですかそうですか…。
え?そろそろ話す気になったかって?ーー全部話しましたよ。一昨日の事は。たっぷり後悔しました。だってね、善意で差し伸べた手を振り払われた挙げ句に僕は全てを失い掛けてる。ああ同情を求めてるんじゃないです。悔やんでるだけなんで。
ーーねえ、そろそろ帰らせて貰えませんか?僕は全部話したでしょう?
……だから。
僕は一昨日、確かに女の子を助けました。でもその子は僕が学校に行っている間にいなくなってたんですよ?お礼も無しに。だから会話もしてないんですって。え?ーーああはい、聞いちゃいけない事だったんですね忘れました聞いてません。だからその、頭に突きつけないでくれませんかね……。
ーーふう。
全く、いつからこの国はこんなに物騒になったんですか…?傷だらけの女の子を助けただけで捕まるなんて。どうかしてますよ。
……。
……。
え!帰っていいんですか!?
やった、いえいえすぐ帰ります今帰ります!でもどうして急に?あっ分かりました聞きません。

それじゃあ!

……。
あ。
すいません、最後に一つ。

ーーーー昨日、注射されたアレ……ヤバイ物じゃないですよね?
ーーーー。
ーー。
…。
ーーーあっ、ですよねー!良かった、何かほら、そういうの映画とかであるから、いやもう昨日は怖くて眠れなかったんですよ!ビタミン剤か。道理で眠ってないのにすっきりしてる訳だ!
今日は家帰って寝ます!それじゃあ!もう二度と会うこともないといいですね!

 

 

 

ーー友人が何とか上手いことフォローしてくれたらしく、バイトの方も学校の方も首の皮一枚ぎりぎりの所で大丈夫だった。それでようやく心配事が無くなり、僕はコンビニで買ったスイーツたっぷりの袋をがさがさいわせて夜道を歩く。普段の僕なら絶対にしない暴挙とも言える贅沢だが、間違ったら全財産消えていたのだ。これくらいいだろう。
ーーそれに、言葉は悪いが出所祝いも兼ねてだったりする。
「いやあ、良かった良かった。ーーもう一日あんな場所で過ごしてたら発狂してただろうな…あー全く、良いことはするもんじゃないな」
歩きながらぼやく。見上げた夜空は満月がぽっかり浮かんでいた。ああ平和。こういうのを平和っていうんだなあ。当たり前でちっぽけな、失いそうになりかけていたものを噛みしめる。昨日見た天井はコンクリで灰色でそれはそれは見ているだけで気持ちが沈んだものだ。僕は自然、視線を動かす。光の当たる僕の足下、そして当たらない暗い路地。
ーーーあの女の子と会ったのは、こんな場所だった。だからか、足が止まる。暗がりの奥をのぞき込む。もしかしているんじゃないだろうか。そんな馬鹿な事を考えて。
あの時、あの子は僕に助けを求めていなかった。ただ、野良猫のように暗がりで息を潜めて。傷だらけの体でうずくまっていた。大丈夫かい、という馬鹿な僕の問いに彼女は何も言わなかった。
僕はどうしてあの時手を差し伸べたのだろう。拘束されて拘留されてからずっと考えた。
答えが出ない問いというのはこういう事なのかもしれないと僕の中で結論が出た。その結論の限りきっと僕は、世界が繰り返されたとしても同じ事をするのだろう。
ーー暗い路地には当たり前だが、誰もいなかった。
「……」
回れ右して、誰も見ていないのに何となく変な気恥ずかしさを隠すように歩き出す。ああ全く。慣れない事はするもんじゃない。足音だけが響く道に振り向けば光が創り出した僕の影があるだけで。誰もいやしないのに。
「ーーおいおい」
苦笑する。それから、一人ごちた。
「あんな目に遭ったのに、僕はまだ会いたいのか?もしかして」
これもきっと考えても答えは出ないんだろう、と僕は思った。

安いアパートの階段を昇る音はやたらと五月蠅いからなるべく音を立てないようにして、それでもカンカン鳴る音に住民達に内心謝りながら三階まで昇る。途中あんあんとか発情しまくった声が聞こえるのはもう慣れた事だ。鬱陶しいよりもそんな相手がいるのが羨ましい。でも異性を買う金も無いので仕方ない。鍵を出そうと鞄を探して、上手く手が動かなくて鍵が落ちる。
「…?」
僕の右手が震えていた。恐怖とかじゃない。勝手にだ。ぶるぶる。ぶるぶる。小刻みの振動。腕だけが別の生き物みたいな気味の悪さをとりあえず無視して慣れない左手で何とか鍵を掴み鍵穴に差し込む。カチリ。中に入って鍵とチェーンをこれまた左手で掛けて電灯のスイッチを押した後は鬱陶しいバイブレーションな右手を左手で押さえつける。荒ぶる右手とか俺の右手が疼くという完全な中二じゃねえかと怖くなってきたのでギャグに走り。捜査という名の暴挙によって荒らされまくった部屋を見る。
荒らされてゴミのようになった部屋の中で、一人の少女が座っていた。
「ーー」
思考が止まった。少女の瞳が、僕を見る。どうして、と言葉が漏れそうになった。声にはならなかった。
ーー少女が、微笑んで。
「おかえりなさい」
花開くようなその笑顔に、僕はーー
「た、ただいま……?」
情けなくも、そんな返事を返してしまった。

 

◇◆◇◆ ◇◆◇◆

 

 

全く持って不思議だった。どうして、彼女がここにいるのか。そしてどうして、僕の動揺など何処吹く風でがさがさごそごそ袋を漁っているのか。
「…あ、プリン!ねえこれ、食べて良い?」
「ーーー良いけど」
ちなみに、買ってきたスイーツ袋はもうすぐぺしゃんこだ。ショートケーキ、シュークリームを平らげた少女は最後の砦だったプリンを頬張っている。女の子って本当に甘いものが好きなんだなあ…という感想。ちなみに僕は、さっきから同じ体勢だ。未だ右手は壊れたバイブっている。いや本当、何これ。
「…どうしたの?」
そこで綺麗に完食してんぐんぐ水を飲んでいた少女が僕を見た。まるでさっきまでは食べるのに夢中で気づきませんでしたという驚きの丸い目。いや良いんだけど。僕は「何か突然バイブり出した」と簡潔に告げた。少女は興味津々にのぞき込んで、挙げ句にちょんちょん触ってくる。
「おおーー…凄い、ブルブルってしてる…」
「…」
ーーー。おかしいな。僕の思い出の少女は警戒心丸出しの野良猫みたいだったような気がする。もしかして目の前のこの子はそっくりさんなんだろうか。というか何で居るんだろうこの子。
「ねえねえ、これ前から?」
「…違うと思う」
「ふうん?」
つんつん。ぺたぺた。小さな手で僕の震える右腕に触れて、少女が顔をあげた。その時僕は、至近距離で初めて彼女の瞳を見た。
「ーーー」
青い空と、正反対に人工的なピンク色が混ざり合った硝子玉の中に僕が映っていた。その中の僕は顔がこそげ落ちていて、子供の落書きのように周囲に色とりどりのパステルカラーの蝶が飛んで鱗粉がーーって気持ち悪っ。
「あ、震え消えた」
「え」
声に、見れば確かにーーバイブっていた右手は正常に戻っていた。一体どういう事だろう。とりあえずお帰り右手。確認の為手を開いて閉じる。問題無く動いた。バイブる様子も無い。
「ね、良かったね」
「……」
あ。笑う彼女の目は硝子玉でも何でもなく眼球だった。勿論パステルカラーの蝶は飛んでいない。黒い目は微かに青みがかっているものの、それだけだ。

 

 

 

 

再会シーンまでにしようかなと迷った結果中途半端な所です。再開シーンまでが見つけた時に書いてたシーン。その後は最近追加。

でもこれ、よく読み返したら「事案だこれ…!」ってなりました。大丈夫フィクションの世界は自由。と思う事にします。

ポメラの

捜し物をしてひたすらフォルダからサンプル確認したけど見つからず、それどころか覚えのないものが大量で混乱しました。でも少女と青年とか赤ずきんとか私の好きなモチーフだったのであ、これは私が書いたものだな…と変に納得しました。フォルダ名も、キャラの名前から「突発」とか「書きかけ」とか「電波」とかで内容が普通に分からないという。

 その中のとりあえず二つが気に入ったので(本当に最初の書きかけなんですが)誤字修正、少し追加してブログに投げておこうと。

書きかけかよと思ったけど、書きかけでもこれを見て誰かの中で何かが生まれるならそれはいいことなんじゃないかな!少なくとも私はそういうものを見ると続きを想像したり、(自分で書いた癖に)ここは私だったらこういう設定にするなとか膨らませられるので。

というわけで。この記事ともう一つ上げます。本気で記憶にないやつなので、続きはちまちま思い出したら打っていくと思われ。

 

 

 

「狼さんと赤ずきんさん」

 

 

今日こそ獲物を狩るぞ、と決めた狼さん。いつもの草むらを進んで、森の中。色とりどりの花が咲いた花畑の甘い誘惑を断ち切ってずんずん進むと、聞き慣れない音が狼さんの耳に届きました。
コツ コツ
堅い何かが、土や石を叩く音。狼さんは何だろうかと音のする方へ。
ーーーそして狼さんが見つけたのは、森の中を歩く赤い頭巾の女の子。

「やった!獲物だ!」

狼さん大喜び。まるで童話のよう。童話なら狼さんはこの後すごい事になっちゃいますが、これは童話じゃありません。だから狼さん、大喜びです。何てったって女の子。14歳くらいで、丁度お肉も柔らかそう。見た限り武装もしていないので、狼さん一人でしとめられます。狼さんは小食なので食糧の備蓄にもなるでしょう。しばらく食い扶持には困りません。
早速狼さんは女の子の後をつけます。世に言うストーカー行為。でもお巡りさんはいないので通報はされません。

コツ コツ コツ

女の子はどこか危ない足取りでよろよろよろよろ。歩きにくい森の中だからでしょう。狼さんは隙を見て赤頭巾の女の子を襲うつもりです。今だって隙だらけですが、念には念を。狼さんはビビりですから。

「ーー!」

ついに、赤頭巾の女の子が木か石に足を引っかけて転んでしまいました。大チャンス。狼さんダッシュ。さっと走り寄ります。その途中、何かを踏んで転びそうになりました。

「うわっ」

転びはしませんでしたけど狼さん、バランスを崩してしまいました。一体何だったのでしょう。気になって足下を探します。すぐにそれは見つかりました。狼さんはそれを手に取ります。

「何だこれ…杖?」

白くて細い杖でした。お婆さんお爺さんが持っているようなそれです。何となく、嫌な予感を狼さんは感じ取りました。

「あの…」

声がしました。狼さんはゆっくり振り向きます。本当は振り向きたくなかったのです。嫌な予感がしたから。

そこには、赤い頭巾の女の子。
ーー薄く開かれた薄紫の瞳は虚空をさ迷うように不安定に動いて。
ーーここに来る道中転んだりしたのでしょう。スカートから覗く白い足には沢山の擦り傷。
ーーー何かを探すように、ゆらゆらと動く行き場の無い手も傷だらけ。

「……」

赤い頭巾の女の子は、狼さんの顔とは違う位置に瞳を向けて言いました。

その声は、小さくて、掠れてーーあまりにも弱々しく狼さんの耳に届きました。

「すいません…その辺に杖、落ちてませんでしたか…?」

「ーーーー」


狼さん、理解しました。赤い頭巾の女の子は弱視なのか盲目なのか分かりませんが、ほとんど視力が無いのです。それならあれだけふらふらよろよろしていたのも納得です。
ーーーけれど。
狼さんは厄介な事に情も常識もモラルもありました。だからこんな、いかにも社会的弱者なーー赤頭巾の女の子を襲うのは「あっこれ常識的にやっちゃ駄目だ。クズだ」と気づいてしまったのです。弱いものは守ってあげないと生きていけません。狼さんだって小さい頃は守って貰って生きてきたのだから。

だから狼さん、泣く泣くーー本当にちょっと目の端に涙を浮かせながら、未ださ迷う女の子の手に杖を渡しました。

「…どうぞ」

女の子が杖に気づいて、ほっと息をつきます。顔は相変わらず狼さんを見ることなく。虚空を眺め。

その口の端が、ほんの少しだけ持ち上がり。

「有り難うございます」

「ーーー」

きゅん。その、微笑と呼べるのかも怪しい微笑みにーー狼さんは見事に落っこちてしまいました。

「え!?」

「はい?」

きょとん。思わず動揺して出た言葉に、赤頭巾の女の子は首を傾げます。その仕草を「可愛い」と思ってしまって狼さんは更に動揺。坂道を転がり落ちるようなそんな気分。

「あ、いや!えっと、何でも、ない…」

「?そうですか」

よいしょ、と女の子は杖を使って立ち上がります。ですが杖の先に泥でもついていたのでしょう。ずる、と杖ごと女の子の身体が傾き。

「あ…」

気づけば狼さんは手を伸ばし、女の子を支えていました。ふわりと女の子の赤い頭巾から淡い金髪が揺れ、光の無い薄紫の瞳が驚いたように丸くなります。狼さんは慌てて女の子から離れました。

「ご、ごめん」

どうして謝るのでしょう。狼さんにも分かりません。いえ、と女の子は首を振りました。

「こちらこそ、助けて頂いて…あの、有り難うございました」

少しだけ強ばる、女の子の微笑み。狼さんはそれで、「そうだよな」と思いました。さっきまで気づかなかったでしょうが、きっと女の子は自分が「狼」である事に触れた事で気が付いてしまったのだと。それならこの反応はしょうがありません。間違えれば石を投げて拒絶されてもおかしくないのですから。それでも女の子は恐怖を隠し、狼さんに笑みを浮かべてお礼を言ってくれたのです。狼さんの心臓がそれを思うときゅっと鳴きました。女の子に何か言わなくてはと思い、だけど「君を食べる気はない」なんて言葉、狼さんが言っても信用を得られないと葛藤してーー

「あの、それじゃあ私…行きますね」

遠慮がちに掛けられたその言葉にはっとしました。女の子はそっと狼さんから離れ、杖で道を探りながら歩きだそうとします。

「ど、どこに行くんだ?」

思わず狼さんはそんな事を言ってーー「え?」と女の子の足が止まりました。この質問はいけない。狼さんはまるで怪しい変質者のような事を聞いてしまったんじゃないかと慌てて言います。

「ご、ごめん。変な事を聞いて…気にしないでくれ」

「ーー。…お婆さんに、会いに行くんです」

だけど。狼さんの言葉に、被さるように小さな声が返ってきました。これには狼さん、驚きます。返事があったこともそうでしたが、だって
こんな森の中に?しかもほとんど目が見えない女の子一人で会いに行くなんて。一瞬狼さんの脳裏に有名な童話が浮かびました。でも、これは童話ではありません。それに、童話の女の子は目がちゃんと見えていたはず。目の前の女の子とは違います。だからなのか、それともちゃんと女の子が返事をしてくれた事が嬉しかったのかーー気が付けば狼さんはもう一つ、問いかけていました。

「えっと、それは…君のお婆さんなのか?」

ここで、狼さんは選択肢を間違えてしまいました。

正しい狼さんなら、食糧にならない女の子と別れて新たな食糧を探しに行くべきだったのです。だって狼さんは腹ぺこなのだから。これ以上会話しても、狼さんのお腹が膨れる事はありません。

そして、女の子の返事を聞いてしまえばーーヘタレ、もといそれなりに常識もモラルもあって優しい狼さんの行動は一つだったのです。

「…いいえ」

女の子は俯きました。呟くような声も掠れて、さっきよりも小さなそれはーー狼さんの大きな耳に、不思議とはっきりと届いてしまいました。
女の子の顔は見えません。赤い頭巾が影になって。

「……私の、お婆さんじゃありません」

だけど、暗い森の中でぽつんと一人立つその姿はーー狼さんに、過去の自分の姿を見ているような気分にさせました。

「この森の、深くにーー魔女のお婆さんが居るという噂を聞きました…私は、そのお婆さんに会いに行くんです」


◇◆◇◆ ◇◆◇◆

 

 

 

大好きな赤ずきんと狼というモチーフの何か。もうこのモチーフどれだけ書いてるか分かりません。好きです。

行間開いてるのは、pomera時からそうだったので。きっとこういう感じの表現をしたかったんだろうなと過去の私の思考をなんとなく理解しようとした結果です。

とても青くさいけど少年少女の二人だけの逃避行という雰囲気が好きです

pomeraを久しぶりに接続したので、一応最近書いてた話を一つ上げておこうかと思いまして……

……読み返したら恥ずかしかった!赤面だった!ので、このタイトルの話です興味のある方はどうぞ!と言わんばかりに続きからに置いておきます。仕事中に、少年と少女の逃避行が書きたいなーと思って書いた話です。どう見てもお先真っ暗だよ!

 

 

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棺フラグ

 えーと前アップしたhttp://daradara00.jugem.jp/?eid=932 の記事の小説の設定というかメモのようなもの。短いので折りたたもうかと思ったけど置いておきます。
ゲームぽくしたかったので、ある一定期に入ると棺フラグが建ちます。

不意に振り返ると、「彼」の体が赤く染まっていた。べったりと。
まるでインクをぶちまけたような姿に目を丸くすると、彼がああ、と勘づいたように。
私を、見て。
「返り血だよ」
あっさりとした言葉に納得する。そうか、あれは誰かの血なのか。
私はもう血の色なんて覚えていなかったから、あまり何も感じなくて。
麻痺していたのかもしれない。いつしか忘れられた傷痕のように。
ーーだから、私はようやく返り血という言葉を理解して。
「どうしたの、それ」
そう聞こうとして振り返れば、この男になってしまった彼の服にはもう血はついていなかった。
ーーー代わりに、この男の身体は酷く黒ずんでいたけれど。
赤じゃないから、それは血じゃないのだろう。


棺フラグが建った後


ゆらゆら。ゆらゆら。
ーーそこは、いつもの世界じゃなかった。似ているけれど、違う。
揺れているのは私だけ。そこにいるのは私だけ。黒い世界。見えなくなってしまったのとは違う。
ただ、暗い。明かりはどこにあるんだろう。少し歩き回って、私はそこがいつもの場所じゃない事に気付いた。
ーー足元の草は、湿っていて。
「草…」
そもそもそんなもの生えていただろうか。私の見ていた世界は、いつも、白い床だった。
「白…」
ふと目を向けると、暗い世界に一点の白があった。骨でできたみたいに白いそれは、棺だった。
「この棺には誰が入るの」
私の呟きを拾って、彼が答える。
「君以外の誰かだよ」
ーああ。私はほっとして。
そして、その顔がこの男に変わる。
「君だよ。君が、眠るんだ」

棺フラグはまんまです。そしてこの後も電波なやり取りが続く。

ちがうものを見て生きる三人の繰り返す三日間のおはなし

 電波なほう。ゲームとかにしてみたかったのかもしれない。何も考えてなかったのかもしれない。覚えてません。ちまちま続き打ってます。文字大きめ。




ーーゆらゆら。ゆらゆら。
揺れる影絵のようなそれを私は眺めていた。ゆらゆら不定期に揺れるそれは大きくもあり小さくもあり、不意に大きな影の群が私に近づいてきた。
ー私に触れたいのだ、と一秒程遅れて気づく。もう大きな影たちは私の目の前まで来ていた。色とりどりの影の中でも一際目立つ墨色が、私の視界いっぱいになる。
ーその、瞬間。
「ーーそれに触れてはいけないよ」
後ろから声がした。私ははっと意識を取り戻したように、後ずさっていた。黒い影から意識して離れるとそれを気づいたのだろう。影はゆらゆら揺れて、迷うように動いたあとまたゆらゆらと影絵の世界に戻っていく。色とりどりの影絵の中に戻った黒いそれらは、まだ私を見ているような気がした。私は息を吐いて、振り向く。
ー「彼」がそこに座っていた。彼に会うのはおよそ二日ぶりだろうか。穏やかに微笑んで、手にした分厚い書物に視線を落としている。彼が何を読んでいるのかはこの世界の文字が読めない私には分からない。
「ねえ、どうしてさっきの影に触っちゃいけないの」
私の問いに、彼は顔を上げて私を見た。ー色とりどりの影絵に似た瞳が、少しだけ細くなる。
「あれはカラスだよ。触れたら君の手が黒く汚れてしまう」
「カラス?あれが?」
「君の知る世界のそれとは違うかもしれないね」
ぱちくりと目を丸くした私に微笑んで、彼はまた書物に視線を移す。
「全然違うわよ。私の知ってるカラスは、あんなに大きくないし。触っても汚れない」
「ーそうかな」
含みのある言い方だった。ー確かに、カラスはごみなどを漁ったりもするからおよそ綺麗とは言えないかもしれない。だけどあんなに大きくてあんなに黒いのは論外だ。
「やっぱりこの世界って変」
溜息を吐いた私に、彼がまた微笑んだ。
「いつか帰れるといいね、君の世界に」
他人事のような響き。彼は誰とも深く付き合うつもりは無いのだろう。
ーーでも、彼だけが私と同じ世界を共有しているのだ。
私は色とりどりの影絵を眺めながら、本心かもよく分からない言葉を返した。
「そうね」



目を開けると黒い影が目の前にいた。ばっと遠ざかると、黒い影はゆらゆら揺れて私を見ていた。それは寒さで震えているようにも見えて、私は思わず後ろを振り向いて彼がいないことを確認した。
「ーー」
手を伸ばして、私はその影に触れた。


カラスに触れて手が真っ黒になってしまったので、私は半袖から長袖を着なくてはいけなくなってしまった。ーカラスに触れた手は黒いペンキに浸したように腕まで染まって。彼がそれを見たら忠告したのにと言う事だろう。だから隠した。見られなければ何て言う事もないのだ。あの行為を私は過ちだと思っていない。
ー幸いなことに、私はしばらく彼に会わなかった。

何だか腕が痒いような気がして袖をまくると、黒い腕が赤が混ざってまだらになっていた。
「ーどうしたんだい、それ」
後ろから声がした。ぎくりとする。振り向く。
ー私は安堵の息を吐いた。
ああ、「この男」だ。
「別に。カラスに触っただけ」
「カラス?カラスに触ったらそうなるのかい?興味深いね」
彼の容姿そのままなのに、私と世界を共有しない違う世界を生きる「この男」。私は徒に微笑んだ。
「知らないの?私と「彼」の世界のカラスはこんなに大きいのよ。それに凄い真っ黒」
私は身振り手振りしてこの男に示した。
「そんな大きいカラスはちょっとホラーだな。でも黒いのは変わらないね」
「・・・そうだったかしら」
私は前いた世界の記憶を辿る。カラス。小さくて、ゴミを漁っていてーーでも、あんなに人目を惹く黒だっただろうか。
「今もいるのかい?」
声に浮上する。私は視線を影絵に移した。揺れる影を見ているとどうしてか心が落ち着く。
「いるわ。でも、他の影の後ろ」
「君と「彼」が見ている世界は面白いね」
この男の発言はまるで他人事だ。彼と同じ書物をめくって。この男の読んでいる本なら読める。重い題名の、中身も重い本。ー私は好きじゃない。
「君、その腕痛かったら軟膏があるからそれを塗りなさい」
かたん。音に影絵の世界から視線を上げると、椅子にはもう誰も座っていなかった。


腕は随分良くなった。白の中に少し赤と黒のまだらがある程度。軟膏が効いたんだろうか。お陰で私は半袖に戻ることができた。

ある日床を見ると、きらきらしていた。ー光が反射したようなそれに顔を上げる。この世界に太陽は存在しない。視線を下に戻すときらきらしたそれが揺れて、波間の光のようにも思える。
「昨日、雨が降ったんだよ」
振り向くと彼が椅子に座っていた。
「雨?音はしなかったけど」
「この世界の雨に音は無いよ」
彼がそう言うのならそうなのだろう。そういえば私はこの世界の雨を一度も見たことが無かった。
「そうだろうね」
「いつも眠っている間に降っているんでしょう。きっとそう」
「だったらどうする?起きているかい?」
珍しく彼は私にカップを渡した。白いカップから立ち上る湯気と香ばしい匂い。珈琲だ。一口飲む。
匂いとは正反対の泥のような味がした。
「苦いかい」
「苦いわ」
「君の世界ではどうだった?」
そう言われても私は前の世界で珈琲を飲んだ事なんて無い。彼もそれが分かったのだろう。肩を竦めて。
「きっと今日も雨が降るよ。嫌ならお勧めしないけど、珈琲には眠気覚ましもある」
ーこんな泥のような味なら確かに目も覚めるだろう。私は彼にカップを返した。
「いらない。ーねえ、こういう時間に雨は降らないの」
私はこの世界の雨はどんなものなのだろうと想像する。
ーきらきらした床に落ちた滴の名残は、もう大分薄くなっていた。彼はもう一杯珈琲を口にして。
「降らないよ。この世界の雨はそういうものだから」
彼はきっと珈琲を飲んでいるからその時間起きていられるのだろう。だけど私は苦いものは苦手だった。
「そう。ならいい」
ーーーそれに、雨の降る日はきっと私がいつも寝ている日なのだと、そう思った。


「三日間を君は繰り返している」
この男の言う事はいつも唐突だ。私は黒く染まった腕をさすりながら振り向いた。
「何、突然」
「突然じゃないよ。この会話は前にもした」
「知らない」
そんなの記憶にない。この男の見ている世界と私の見ている世界は違う。
「選択できる場所があった筈だよ」
「ーー」
ゆらゆら。ゆらゆら。影絵の世界が遠ざかる。この男がいるからだ。
「さあ、もう一度だ。君が迷い込んだ世界から帰るための三日間を過ごすといい。ーー選択は、君が選ぶものだ」
声が微睡みに覆い被さる。影絵の世界が見えなくなって、私は目を閉じている事に気づいた。



世界観を共有する「彼」と
現実を見る「この男」と
突然知らない世界に迷い込んだ「私」の、これは繰り返す三日間の話。


目を開けた。ゆらゆら動く黒い影が私に近づいていた。
私はそれを受け入れた。


「君、カラスに触ったね」
とうとう彼にばれてしまった。私は罰が悪くなって腕を隠す。
「だって震えていたから」
「君の手が汚れると言っただろう。どうするんだい、そんなに黒くして」
私の手は腕まで真っ黒で。確かに、どうすればいいんだろう。彼が息をついた。
「カラスがしたように、君も汚れをどこかに移すといい」
「どうやってやるの?」
私の言葉に彼は少し考えて。それから手にしたカップを私に渡した。ひんやりとした、何も入っていない白いカップは私の手が触れた瞬間、真っ黒になってしまった。
「君がこうやって触っていけばいいんだ。カラスみたいに」
確かにそうすると私の黒い部分が少し減った。
「それ、私がカラスみたい」
彼は私の言葉に不思議そうな顔をした。
「何を言っているんだい?君はカラスに触れてカラスになったんだよ」


白い腕が戻ってきた。今日はこの男だ。いつも本を読んでいて、私の世界をあまり邪魔しない。
「腕、戻って良かったね」
本をめくる間に他人事のように呟く。
「ええ。これでようやく私に戻れたわ」
「君の言っている事は相変わらずさっぱりだね」
振り向く。この男はあまり私を見ない。どこまでも本が好きなのだ。それも、私が読まないとびきり内容が重い本。
「この前まで私、カラスだったのよ」
「へえ。それは見てみたかった」
感情のこもっていない声は彼と被るものがある。表情も。よく見たら全てこの男は彼と同じだ。私は視線を影絵の世界に戻す。最近やたらと目立つ桃色の影が少し私に近づいていた。丸くて、揺れ方にも愛嬌がある影だ。
「ーねえ、あれは何?」
言ってから、私はこの男が彼では無いのだと気づいた。

「あれはリスだよ。確かにちょっと可愛いかもしれない」
彼の言葉に私は顔を上げた。また眠っていたのかもしれない。
「リス?なら触ってもいい?」
「触りたいのかい」
「だって、可愛いでしょ」
「カラスと違ってあれは触れないよ」
もう桃色の影は目の前に来ていた。時間をかけて慣れたそれに私は手を伸ばす。ーすかっと、手が影をすり抜けた。私の心に落胆の影が落ちる。
「どうして触れないの」
「君に関係が無いからだ」
その言葉は魚の小骨のように私の喉にひっかかり、私の肉を少し削いでそのまま落ちていった。


「喉が痛いような気がする」
私の言葉にこの男はまるで彼のように溜息を吐いた。
「さあ、また三日間だ。いいかい、君は次こそ間違えちゃいけない」
「ーー」
「君の世界を取り戻すんだ。さあ、目を閉じて」


喉がちくちくと痛むような気がした。乾燥しているのだろうか。床がきらきら光っているけれど今は喉が痛くて、彼は少しだけ声の調子を落として。
「珈琲に蜂蜜を入れてみたけど、飲むかい?」
渡されたコップには飴色の液体が入っていた。匂いも甘ったるい。珈琲と蜂蜜の分量の問題だろう。一口舐める。
舌が甘みに耐えきれなくなって私はすぐにそれを突っ返した。


喉の痛みはいつの間にか消えていた。この男は相変わらず他人事のように「良かったね」と本を見ながら言う。
「ねえ、いつもそんな本を読んで疲れない?」
「面白いからね」
「どこが?」
「人の苦悩と、その先にある選択。人はどこまで落ちても希望を求められるのかという永遠の課題を冷静な目で見つめられる」
この男はさらりと不気味な事を言う。私は溜息を吐いた。
「フィクションでしょう、それ」
「でもこれは人が書いたものだよ。ーー人は自分の領域の及ばない事にまで手を伸ばさない」
私は首を傾げた。
「それ、いつの人の話?」


ゆらゆら揺れる影に合わせて頭を揺らしていると、緑色の影が私を囲んで揺れ出した。
「踊っているみたい」
「ネコはダンスが好きだからね。君が同類に思えたんだろう」
「この影はネコ?やっぱり全然違うんだ。ねえ、あの桃色の影は?」
揺れながら聞くと、彼も揺れているように見えた。緑色の影には触れなかったけれど、ゆらゆら揺れるのは楽しかった。


ーー黒い影が私を食べた。
目を開けると、何も見えなかった。


「さあ、もう一度だ」
黒に染められた世界で、私は確かにこの男の声を聞いた。


ゆらゆら揺れる影絵の世界は私には新鮮だった。色とりどりで、ゆらゆら。ゆらゆら。セロハンみたいに半透明だから後ろの色と混じり合って。
「君、食事はとらないのかい」
この男の声もゆらゆらと混じり合って。
「不思議なことに、この世界に来てから私は一度も食事をとってないの。とらなくてもいいみたい」
この世界に来てからは不思議の連続だ。この男は私の言葉に溜息を吐いた。
「本当に不思議だね、君達の見ている世界は」
どうしてこの男は世界を共有できないのだろう。彼と同じなのに。